風俗嬢も、誰かのためになりたかった。セックスボランティアについて。(中編)
さて、前回の続きです。
拙い文章ではありますが、よろしければお付き合いください。
そしてまだ前回の記事をご覧いただいていない方は、お手数ですがこちらからお願いします。
皆さんは、セックスボランティアという職業を知っていますか?
身体または知的障害を持っていることが原因で、セックス(性行為)の機会を得ることが極端に少ないか、セックスあるいは自慰を行うことが物理的、肉体的に困難な人々に対し、性行為の介助(介護)を行う人のことである。
だそうです。
私がこの言葉を初めて知ったのは、以前勤めていた店で一番慕っていた姉さんが辞めてしまった所から始まります。
今回はその時からの自分の実体験を交えて、お話を進めていきたいと思います。
当時色んな欲と感情がぐちゃぐちゃに混ざり合う業界に嫌気がさして、店を飛び出して行った姉さん。
今思えば飛び出して行ってしまった時点で、きっと彼女の腹はなんとなく決まっていたのだと思います。
私は彼女から本当に色んなことを教わりました。
風俗嬢としてやっていくための心得から始まり、男性がドキっとする女性らしい仕草、服の脱ぎ方、下着の外し方、お客様の喜ばせ方、困ったお客様の対処の仕方まで。
今思えばものすごく昭和か!っていうチームワークもしくは上下関係だなって思いますが(笑)当時の私にとって、姉さんの存在そのもの、そして姉さんの教えは無くてはならないものでした。
そんな姉さんが、大勢いる自分の顧客を投げ捨ててでも行きたかった場所。
それが、”セックスボランティア”でした。
ただ、一つ注意してほしいのが、この”セックスボランティア”と”風俗嬢”というのは目的は同じ”射精”であっても内容はまったく異なります。
セックスボランティアというのは、射精介助、性介護がメインであるからです。
射精介助はもとより「性介護」って何が違うの?という話ですが、ここからは現役のころの私のリピーター様のお話になります。
ある日、お店のスタッフから相談がありました。
身体に障害のあるお客様なんだけど、運転ももちろん不可でホテルへも介護者なしでは行けない。
もちろんプレイ中は介護者は席を外すんだけど、応対できる?とのことでした。
今思えば無責任な考えですが、そのようなケースには出会ったことがなかったので、やってみないとわからない。けれど、精いっぱい努力はする。というのが私の答えでした。
しかし本当にわからない。身体的な障害って、どこまでを表すの?
ホテルにも自分で入れないのなら、もしプレイ中に何かあったら、どうしたらいいの?
そもそも、プレイってできるの?
本当に、わからない。
不安しかなかったので、ホテルではなくこちらがご自宅に伺うこと(初めから自宅に呼んでください、と思いましたが(笑))、可能ならば介護者には同室にいてもらうというのが私が出した条件です。
もちろん快諾してくださいました。
この、直接的な介助はしませんが、間接的な介護をするのが「性介護」です。
そしてそれをセックスボランティアと一括りにすると、その仕事は本当に多岐に渡ります。
時にはエッチな雑誌も買いに行くし、自慰行為のお手伝いもするんだそう。
だけど介護者が裸になることはないし、肌も重ね合わさない。
当時のその介護者の方に聞いた話です。
障がい者の方専門の風俗店とも、もちろん異なります。
専門店ともなると今度は私と同じような立場になるかと思います。
そして私のリピーター様はまず、「女性の肌に触れて癒されたい。抱きしめてほしい。」とリクエストされました。
もちろんお安い御用ですよ。
そして言わずもがな他のお客様と同様にプレイも進めさせていただきます。
身体を触らせてほしい、コスプレってやってみてほしい、オナニーを見せてほしい、なんて時もありました。
ある日お客様が、自分のタイミングで性欲を発散できないのがただただ苦痛で悔しい、と突然泣き始めました。
二日三日ならまだしも、二週間、一ヶ月となると何とも言い難い、と。
その言葉を聞いて、胸が締め付けられる思いでした。
性風俗よりもだいぶリーズナブルとはいえ、セックスボランティアも当然お金がかかります。
生理的な欲求である性欲が発散できないというのは想像を絶します。
性欲があまり無いという方ならばまず問題はないと思います、しかし性欲は人としての生存に直接的に関係はしていないのであまりに問題視されなすぎなんだと思います。
私は専門知識こそないけれど、毎回帰り際の彼の心からの「ありがとう」の言葉と笑顔の裏にこんな苦痛が隠されていたのだと思うと、言葉も出ませんでした。
そんな事、言われなくたってわかるはずなのに、気付けなかった自分が恥ずかしい。
何度も何度も「今日も本当にありがとうね」と頭を下げる彼に対してもちろん笑顔で返しながらも、ちょっとオーバーリアクションなんだよなぁって正直少し思ったりしたこともあります。
でも「お金が少ないから全然呼べないんだけど、また今度、遊んでね」と毎回笑顔で言う彼には、誰にも言えない苦痛と綺麗ごとで救えない事情があったのだと思います。
すみません、長くなるのでまた次回に続きます。
次回で、完結予定でございます。